「総合的な学習の時間」への批判に思うこと

 総合的な学習の時間が始まると、学力の低下が起こるのではないかという声が最近よく聞かれます。この時間の誕生を喜んでいる研究者としては、少し寂しい声です。

 そもそも「学力」とは何でしょう。いろいろなことをたくさん覚えること、知識が豊富な人が学力の高い人でしょうか。う〜ん、私からすると、そういう人は本当はとても羨ましい人です。なぜなら、私自身は記憶したり覚え込むことが苦手で、いつも辞書や辞典を片手に仕事をしています。

 例えば、コンピュータに関するいろいろな用語や新しい機能が矢継ぎ早に出てきますが、とってもこれらを覚えきることはできません。もちろん、年齢のせいもありますが・・。しかし、これらのことについて調べる方法は知っています。この分野の熟達者に聞くというのも一つの方法ですし、インターネットを利用して調べるということもできます。そして、分からないことを何とか学ぼうとします。

 私は、これが学力だと考えています。すなわち「学ぼうとする力」です。

 この「力」には、意欲や態度、スキルなどを含んでいます。もし、総合的な学習の時間によって、この「学力」の低下が起きるのであれば、それは指導の方法に問題があります。私たち教員は、今、この指導力を問われているのです。そのためにも、間違った批判を「間違っている」と言えるだけの「力」をつけなければなりません。

 一緒に考え、培っていきませんか?