流域の小学校が共同で学習を進める事例 「川ネット」 |
プロジェクト型の事例です。兵庫県から京都府に流れている由良川流域の小学校9校が川に関する学習を進めています。そのまとめ役をしている兵庫県氷上郡の大路小学校を見学します。
■学習のようす■
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学校の近くを流れる川を素材に、植物や生物、環境などについて調べます。初めは、魚つり大会や川遊びなどから入り、川を身近な存在として意識することから始めています。
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これまでの学習は、先生が主導権を握っていることが多く、1時間の授業の流れや、全体の計画などが学習者である子どもたちに示されることは少なかったと思います。「総合的な学習の時間」では、学習者自らが問題を見つけたり考えたりする活動が多くなります。そうなってくると、先生がいつまでも学習の主導権を握っていたのでは、学習者が主体的に活動を進めるにも、次の方向が見えなくなることも考えられます。
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そこで、子どもたち自らが学習の計画を立て、それを教室内に掲示している様子です。写真では分かりにくいかもしれませんが、活動の流れをイラストと吹き出しで分かりやすく表現しています。これは、この講座の第2期に行う「イラストで描く指導案」の子ども版です。
こうすることで、今調べていることや学習していることがどこで役に立つのか、次に何をすべきなのかがある程度意識できるようになってきます。「子どもたちに答えが見えるのでは?」、という疑問を持ったあなたは、この講座を受ける価値が十分にあります。
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地域に暮らしている方が学校で講義をされています。昔から伝承されている遊びや、自然の植物などを利用して造る飾りやおもちゃの作り方などを子どもたちに伝えています。先生顔負けの授業ぶりで、子どもを引きつける工夫や演出がすごいですね。
写真左は、川辺でとれるススキを使った飾りの作り方を実演しています。左の写真は出番を待っているところです。
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流域の他校とテレビ電話を利用して会議で交流しているところです。一般に普及しているタイプを利用しているので、画像が鮮明ではありません。そのために、相手校へ文字などを見せる場合には、大きさなどに注意して資料を作成しています。
川に関する調査の結果を、クイズ形式にして問題を出し合うことで楽しく交流を進めています。
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発表する上で大切なことは、相手に何を伝えるか、そしてどのように分かってもらうかということです。そのためには、分かりやすい資料を作ることも必要です。自分たちが集めて整理した資料の提示の順番を相談しているようです。
「これを先に出した方がいいよ。」「この順番にしよう。」「ここでは、これを説明しよう。」などの声が聞こえてきそうです。
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流域の他の学校と意見の交換を行う手段のひとつとして、「子供用グループウェア」を利用しています。1冊の電子ノートを遠隔の学校間で共有して利用できる用になっており、文字や絵図を使った表現が可能です。
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学習に区切りがついた段階で、子ども自身が自己評価を行っています。5つ程度の評価観点が準備され、それに対して「はい」「いいえ」でこたえる簡単なものです。それによって、次の活動では何を目標にしなければならないのかを自覚することにつなげています。
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■学習環境■
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「ビオトープ(ドイツ語でBiotop)」とは、「それぞれの地域の、野生の生き物が生活する場所」を指す言葉です。最近では、企業などが工場の敷地内に人工的な自然環境を造り、鳥や昆虫、魚、植物などをその地域に戻す運動をしています。都会の学校でもいくつかそのような取り組みを始めたところです。
ビオトープ・ワールド(中学校の先生が発信しています)
日本ビオトープ管理士会
千葉県立小金高等学校「ビオトープ通信」
大路小学校でも、地域のみなさんと学校が協力して、校庭の一部に小さな川を造り、そこに地域の川に生息している魚を放しています。水辺の草なども植えています。初めはいかにも人工的な川だったのが、だんだんと自然に近い状態になってきています。子どもたちは、そこに生きる魚や虫を観察することでさまざまなことを学びます。 |
広い廊下がこの学校の特徴です。しかも、教室の壁はすべて大きなドアになっているので、教室と廊下を一体化することも可能です。その廊下に、自分たちが集めてきたものや、調査して分かった結果などを展示して、仲間に知ってもらうという使い方をしています。また、植物の栽培や昆虫などの飼育も廊下にあり、いつでも観察ができるようになっています。
写真の一番左は、採取してきた川の水などを汚れ方のグループに分けて展示しています。
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携帯型のノートパソコンが6台準備されています。重さが1kg程度なので持ち運びも容易です。それらを教室に持ち込み、予め教室に配線されているネットワークに接続することでインターネットなども利用できるようになっています。ケーブルが少し邪魔ですが、自分たちの机の上に移動させての利用も可能です。このような学習スタイルが増えてくると、学校内の無線LANなども普及するかもしれません。
ここでは、自分たちが調べたことを発表するための資料を作成しています。
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大路小学校には、ISDNが3回線用意されています。それによって、インターネットの利用とテレビ会議を同時に行うことも可能です。校内LANもある程度(すべての教室にはまだ行き渡っていない)敷設されています。教室でインターネットを利用する場合は、70mのネットワークケーブルとHUBを利用して、臨時LANを構築するそうです。
写真左は、流域の学校から送られてきた電子メールの内容を、流域地図の上に貼り付けた掲示物です。右の写真は、事務室にあるサーバなどの機器です。
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■学習カリキュラムなど■
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それぞれの学校が、自校のカリキュラムの中に「川ネット」プロジェクトを位置づけながら進めていくようになっています。そこで、各学年の取り組み内容や、交流時期などを予め設定し、それぞれの学校が参加できる範囲で学習を展開しています。何が何でも交流に参加するという計画ではありません。
川ネット
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流域の11校が参加して交流を進めるので、その連絡調整にメーリングリストを利用しています。テレビ会議の日程調整をはじめ、子ども用のグループウェアを利用した活動計画の確認、それぞれの学校のホームページ情報、研究発表会の案内などです。
子どもだけでなく、これからは電子メールなどの積極的な利用が必要になってくることは間違いありません。
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