研究概要

 さまざまな犯罪から、子どもを守るための「防犯リーダー」の役割について各地域を訪問する機会が増えてきました。
登下校の子どもたちの安全を確保するために、交差点や通学路に立って子どもを見守る地域の方や、防犯パトロールの活動を続けられているボランティアの方など、それぞれが自分のできる範囲で主体的に行動されている様子が印象的です。
これらの地域では、子どもたちに「おはよう」「いってらっしゃい」などの声かけはもちろんのこと、家と学校の間を子どもたちが元気に安心して登下校できるように、また、みんなが安全に生活できるように地域が一体となって取り組んでおられます。

 しかし、一方では、性犯罪や誘拐、携帯電話やインターネットを利用した詐欺など、子ども達が巻き込まれる犯罪が多様化し始めていることも事実です。
地域の防犯力が高まる一方で、ネット社会に犯罪が逃げ込んでいるという実態も否めません。
そして、その犯罪の種類が多様化し、手口が複雑・巧妙になってきています。
これらは、時代とともにさらに変化していくことが考えられます。
もちろん、行政や警察は、このような実態を把握し、これらに対応してさまざまな取り組みをすでに行っています。
これらの実態に対応するために、地域では何をすればいいのでしょう。
そのひとつの解決策として、地域の防犯リーダーたちが新しい情報を取り入れながら、子どもを取り巻く犯罪やそれに対する防犯活動の内容を正しく理解することが考えられます。
そして、一定の指導力を身につけながら他のリーダーやボランティアの方々と協力して活動を推進していくことがあげられます。
時には、近隣の地域の方との協力も必要になってくるでしょう。
一方、いくつかの防犯活動の様子を見ていると、それぞれの地域の地理や文化、ときには伝統などの特性によって異なった内容と、どの地域でも共通している内容があることも分かってきました。

 そこで、防犯リーダーが知識として理解してほしい内容や身に付けておいてほしい防犯に関する基本的な対応方法、リーダーとしての資質などを整理し、「防犯リーダー指導力規準表・基準表」にまとめました。
もちろん、子どもへの接し方、事件や事故に巻き込まれた子どもへの対応、そしてインターネット等をはじめとする新しい犯罪への理解なども含まれています。

 テキストでは、その中から一部を抜粋して、理解してほしい内容を簡略にまとめてみました。
テキストだけでなく、ビデオやアニメーション、コンピュータによる科学的なデータ検索システムなどを利用して、防犯に関する知識や技能を確実なものにし、地域の防犯力向上に役立てようと考えています。

* 教材開発グループ リーダー 目白大学 教育研究所 原 克彦。